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厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせに関する円卓会議」定義した。
・「職場のパワーハラスメント」とは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適性な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為をいう。」ものとされている。
・上司から部下へのいじめ、嫌がらせを指すことが多いが、先輩・後輩、同僚間、さらには部下から上司に対して行われるものもあり、「職場内の優位性」を「職務上の地位」に限らず、人間関係や専門知識などの様々な優位性が含まれる趣旨であるとする。
・職務上の指導との境界が難しいことから、ここでいうパワーハラスメントは、「業務の適切な範囲を超えるもの」と定義している。セクハラは、相手が不快に感じれば、原則としてこれにあたると言えるが、パワハラは、業務上の必要な指示や注意、指導を受けたも者が、これを不快に感じても該当しない。業務上の適正な範囲を超えた場合がこれに当たる。
@ 暴行、傷害 (身体的な攻撃)
A 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
B 隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
C 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
D 業務上の合理性無く、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事命じることや仕事を与えないこと
(過小な要求)
E 私的なことに過度に立ち入ること(個侵害)
B〜Cが業務の適正な範囲を超えたかが問題となる。
【日研化学事件 東京地裁平成19年10月15日判決】
@存在が目障りだ、居るだけでみんなが迷惑している、お前のかみさんは気がしれん、お願いだから消えてくれ
A車のガソリン代がもったいない
B何処へ飛ばされようと俺は太郎は仕事しないやつだと言いふらしたる
Cお前は会社を食い物にしている 給料泥棒
Dお前は対人恐怖症やろう
E太郎は誰かがやってくれるだろうと思っているから、何も堪えていないし、顔色ひとつ代わっていない
F病院の回り方が分からないのか.勘弁してよ。そんなことまでいわなきゃいないの。
G肩にふけがベターと付いている。お前病気と違うか。
(裁判所の判断)
.上司の言動は、10年以上MR(医療情報担当者)としの経験を有する太郎のキャリアを否定し、そもそもMRとして本件会社で稼働することを否定する内容であるばかりか、中には太郎の人格、存在自体を否定するものである。
・・害意というよりは、基本的には業務の指導の必要性に基づいて発せられたものとは解されるが・・。
→部下に対する上司の言動が、業務指導の範囲を逸脱しており、その中には人格や人間性を否定する言動が含まれかつこれが執拗に行われたものでパワハラに該当する。
【中部電力事件 名古屋高裁平成19年10月31日判決】
太郎の上司であるAは、太郎の主任昇格に際して、書き直しまで命じて、太郎が能力において不足することを明記させ、かつ、昇格後の担当者の業務についても全面的に責任を負う内容の文章を作成させ、さらに太郎に対して「主任失格」という言葉を使って叱責していた。「主任失格」「おまえなんていてもいなくても同じだ。」などの文言を用いて感情的に叱責し、かつ、結婚指輪を身に付けることが集中力低下になるという独自の見解に基づいて、太郎に対し、複数回にわたって結婚指輪を外すように命じていた。
→これらは、何ら合理的理由のない、単なる厳しい指導の範疇を超えたパワーハラスメントに該当するものである。継続して行われたことも重視。
【日本ヘルス興業事件 大阪地裁平成19年11月12日判決】
研修会終了後に、社長ら役員を含む研修参加者全員が出席した懇親会の席上、本部長がスピーチで太郎のことを「俺が仲人をしたのに甲野太郎があり、頭がいいのだが、出来が悪い。」「何をやらしてもあかん」「その証拠として奥さんから内緒で電話があり『主人の相談にのって欲しい』と言った。」
→言われた本人とすれば、無能呼ばわりされたと受け取ることもやむを得ないような不適切な発言であり、言われた者にとってみれば、にわかに忘れることが困難なかつ明らかにストレス要因となる発言であり、社会通念上、精神障害を発症ないし、増悪させる程度に心理的な負荷を有するものと解される。
【北海道銀行事件 札幌地裁平成19年3月14日判決】
支店の支店長代理に着任したA代理は、仕事上の細かい指示を出すことが多く、原告に対しても、同様に些細なことについてまで注意したことから、原告は次第にA代理と衝突するようになり、言い争って原告が声を荒げることもあった。また、原告は,B支店長とも折り合いが悪く、原告がタブカラーのワイシャツやアームバンドを着用して勤務についたことにつき、銀行という職場上、これらの着用をやめるように注意して、同支店長と言い争うことも多かった。
(裁判所)パワハラを否定。個人の受け取り方によっては、業務上必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、これらが業務上適正な範囲で行われていれば、パワーハラスメントに該当しない。
→要は、上司からの叱責でも、その内容がことさら個人の尊厳や人格を傷つけたりするものでなければ、業務上の適正な範囲と解して良い。
@ 使用者の加害意思
A 組織の文化・構造
B 加害者の心理・性格
C 被害者の心理・性格
D きっかけとなる出来事・対立
E 組織外の外部要因
@ 閉ざされた空間において発現する人間の悪・・閉鎖圏ではある程度必然的に発生
A 集団(もしくは多数派)の個人(少数派)に対する攻撃・・加担、傍観、黙認、反発→加担者・協力者の増加、 本人の孤立
B 被害の深刻化
@ 閉ざされた空間における権力関係で発生することから、これに風穴を開ける必要がある。開かれた政治空間へ。 正義・法の実現:法的規制の強化、企業の社会的責任として対処
A 集団→個人 企業:社会的責任として対処
個人:組合への加入、労基法等の活用
B 被害の深刻化→職場のメンタルヘルスケアの推進
@ 事実調査(迅速・適切・・調査担当者、調査手続きの公平性)
A パワハラ該当性の判断
□労働者に指導・教育が必要な状況があったか
・人事課の資料
・労働者のミス等に関する記録・報告書(懲戒歴)
・取引先等のからのクレームを示す文書
・上司・同僚からの聞き取り(書面化)
□指導・改善が労働者の職務遂行の改善という目的のものであったこと。
・他の従業員に対する指導・教育の実施状況の記録
・上司・同僚からの聞き取り(書面化)
□指導・教育の内容が相当な方法で行われたこと
・指導・教育内容の記録(報告書・メール等)
・上司・担当者からの聞き取り(書面化)
B パワハラに該当した場合(職場環境配慮義務)
・被害者への配慮(職場がその被害者にとって安全かつ快適な環境になったか。)
・加害者への措置(同様の問題を起こさないように、懲戒処分等をしたか)
・再発防止の取組
パワハラに該当するか不明の場合→調査を終了し、使用者の判断を示して外部の紛争解決機関を利用するように誘導する。
@ 刑事責任
A 懲戒処分
B 民事責任 (使用者責任と職場環境配慮義務違反の責任)
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