日弁連の副会長室の秘書のKさんが、ぽつりと一言、「最近、副会長の先生の泊まるホテルが前と違ってきた。」。
何を隠そう、私が東京の安宿をみつけては、泊まり歩き、これをK秘書に逐一報告しているからである。もちろん、貧乏だから、安宿に泊まるのだけど、私が「○○ホテル知ってる?」と聞いた時の、K秘書のびっくりしたような、困惑したような表情が楽しくてやめられない。知っていたら、私の負け、知らなかったら私の勝ちと勝手に勝負をしているのだけど、ここのところ、連戦連勝中である。
今年の2月中旬に、副会長見習いで上京するようになってから、私のホテル暮らしは始まった。当初は、歴代の副会長が定宿にしているルポール麹町ホテルに宿泊。きれいでゆったりとしており、レストランも広く、そこそこの水準で、全く不満はないが、面白さに欠ける。
5月の連休中に、ホテルがなかなか取れなくて(中国、韓国のお客さんが多かったみたい)、パソコンで探して、ようやく見つけたのが、蒲田の「ホテル末広」。パソコンの画面で見るホテルの外観は、あまり美しくはなく(というか汚い)、部屋に風呂・トイレは無く、今時共同の洗面所と併設の共同温泉の「黒湯」を利用、朝食は、100円、宿泊料は、7,500円という目がくらむような怪しさ。ほかに泊まることのできるホテルが無いから、やむなく宿泊。この当時、副会長13名は、をれぞれ宿泊先のホテルの名称を、K秘書に届け(緊急時の連絡のため)、ホテル名は、A4用紙1枚にまとめられた副会長全員の日程表にすべて記載されていたので、何か恥ずかしいなあと思いながらも、正直に届け出た。他の副会長の宿泊先であるエクセル○○、赤坂○○ホテルに対し、「ホテル末広」が異彩を放つこと放つこと。聞いたことがないホテルにびっくりしたのはK秘書で、パソコンで調べて、あまりの外観等に、さらにびっくりして、私に「ホテル末広ってどんなホテルですか?」と。ここから、私のホテル人生は、転落を始めたのである。
以後、チェックイン・新橋、幾山館、ホテルサトー東京(これ、特に名前が気にいっています、東京とサトーの組み合わせが絶妙なところが。K秘書にも大受けです。)、マロウドイン赤坂、ビアイン東銀座、サードニクス東京、法華クラブ浅草、浅草橋ビジネスホテル、ホテル上野イースト、ニューグリーン御徒町、東京イン馬込、ホテルメッツ田端、京王プレッソイン、銀座グランドホテル、銀座キャピタルホテル、ホテルサンルート有明、ロハス赤坂、レム日々谷、ビー赤坂、東横イン羽田、ヴィラフォンティーヌ日本橋三越前、スーパーホテル新橋烏森口等々。
それで、安宿を転々として気づいたのだけど、7,500円程度のホテル(〇〇〇ビジネスホテル等)は、当然のことながら、狭い(部屋、ベッド、お風呂もすべて)、古くて汚い、かび臭い、窓の外にはすぐ隣のビルの階段、朝食はまずい、とビジネスホテルのすべての要素を満たして、散々であるが、あまりに完璧なビジネスホテルであり、値段相応で全く腹が立たない、というか、宿泊して納得感が高い(ここは、人によって、感じ方が違うところで、ここで「なんだこんなところ」と感じる人は、7,500円クラスのホテルはやめた方がいいです、というか、言われても泊まるかと怒られそう)。当然の事ながら、女性の宿泊客はみかけず、朝食会場(レストランとは呼べない)は、私を含めて、くたびれたおっさんだらけとなる。ごくまれに、若い女性がいてびっくりし、お嬢さんお嬢さん、こんな〇〇〇なところに泊まってはいけませんよと内心声をかけるが、相手にはとどかない。
ごくごくまれに、夫婦を見かけるが、これはこれでどうかなと思ってしまう(いらん世話。大分弁では、「いらんしょわ」といい、会話で多用される。)。
さすがに、15,000円あたりになると、駅の近くで、部屋はきれいで広く、朝食もバイキング(私の妻は、ブッフェなどとしゃれたことを言うが)で、料理も豊富となる。たとえばこのクラスでは、K秘書お勧めの、ウイングインターナショナル四谷。なんせ、インターナショナルだものね。
要注意なのは、K秘書のように、何だろうこのホテルはと思って、うっかりパソコンで検索することである。検索したが最後、以後、画面の隅に、これらのホテルの案内がずーと表示され続けることになる。うん、何かに似てるぞ。そーか、いかがわしいサイトを覗いた時に、画面からなかなか消えなくて、あせるあの感じ!
副会長としてもうすぐ、4ヶ月が経過する。残り、8ヶ月であと何カ所のホテルに泊まれるのだろう。東京都内全制覇は、不可能なので、せめて、新橋・浜松町・新宿のホテルを全制覇しよう。
先日、K秘書が「新宿にもホテル末広があります」と教えてくれたけど、一泊4,500円。うーん日弁連副会長としての品位が・・・・・あんたが言うか!